腰痛の人が湿布を使ってはいけない理由

ぎっくり腰

こんにちは。

腰痛専門整体院スパインの新美です。

当院に初めて来院されるお客さまの中には、

直前に強い腰の痛みや違和感を感じたことがきっかけで、

それをなんとかしたいという想いからいらっしゃる方も少なくありません。

そして、そんな方々と症状等についてカウンセリングをしている際によく耳にするのが、

『とりあえず腰が痛かったので、湿布を貼って2、3日様子を見ましたが、なかなか改善されなかったので…』

というものです。

一見すると、この当たり前のように聞こえる話。

でも実は、専門家からすると、あまり良い行動ではないんです。

では、何がそんなに良い行動ではないのか?

それは『湿布を使うこと』です。

そこで今回は、『腰痛の人が湿布を使ってはいけない理由』を説明したいと思います。

湿布を使ってはいけない理由

それではまず、結論からお伝えすると、

なぜ腰痛の人が湿布を使ってはいけないかというと、

『湿布を貼っても腰痛は改善されないから』

です。

その理由は、

  1. 湿布は単なる痛み止めだから
  2. 炎症の処置の基本はアイシングだから
  3. 原因の改善が必要だから

です。

では、これらを詳しく見てみましょう。

湿布は単なる痛み止めである

まず初めに、湿布とは何かということをおさらいしておきましょう。

湿布の正式名称は『経皮吸収型鎮痛消炎剤(けいひきゅうしゅうがたちんつうしょうえんざい)』です。

つまり、『皮膚から吸収するタイプの痛み止め』という意味です。

病院で処方されるもの、市販で購入できるもの、様々ありますが基本的なメカニズムは全て一緒で、

配合されている成分に違いがあるだけです。

では、成分によって腰痛に良い、悪いが大きく左右されるかというと、

実はあまり関係ありません。

あくまでも湿布は全て鎮痛剤。

これらは痛みの症状を抑えるためのもので治癒を促したり、

原因にアプローチするものではありません。

痛み処置の基本はアイシング

みなさん、アイシングという言葉はご存知でしょうか?

なんとなく聞いたことがあっても、意外とその内容までは理解していない方も多いのではないでしょうか?

スポーツの現場では基本中の基本。

怪我でも慢性的な痛みでも、『痛いと思ったらアイシング』と言われるように、

痛みの処置においてアイシングは基本となります。

なぜアイシングが基本と言われているかということをお伝えする前に、

簡単にカラダの仕組みについて説明します。

炎症は細胞の飢餓状態

一般的に、痛みが起きている場所というのは、『細胞が飢餓状態を起こしている』と考えていただくとわかりやすいと思います。

飢餓状態の細胞が、「苦しいよ〜」「早く栄養が欲しいよ〜」っという声を『痛み』という情報に変換して脳へ伝え、それを私たちは痛みとして認識しているんですね。

では、なぜ飢餓状態になってしまったかというと、それは血液がその細胞に十分に届かなくなってしまったから。

血液の中にはたくさんの栄養が含まれていますが、その栄養が細胞一つひとつに届かなくなってしまったことが原因で、細胞は飢餓状態に陥ってしまっています。

また、飢餓状態に陥った細胞たちが痛みを発すると、

免疫細胞たちが集まってその場所を修復しようとします。

しかし、単に修復するのではなく、『一度壊してから再構築する』という方法を免疫細胞たちは行うんですね。

すると、そのまま放っておいては、飢餓状態の細胞だけでなく、元気なものまでも免疫細胞が壊してしまい、

広範囲に損傷が広がってしまいます。

アイシングは細胞の冬眠

そこで役に立つのが『アイシング』なのです。

アイシングは炎症している部分を氷で冷やす行為を指しますが、

氷を使うことによって細胞を冬眠状態にし、飢餓状態を和らげます。

また、毛細血管が収縮することで免疫細胞も集まりにくくなり、

細胞の破壊行為を食い止めることができます。

こうすることで、無駄な炎症をアイシングは防ぐことができるので、

痛みを早期に改善させる上で有効と言えます。

冷感湿布なら良いのか?

そこで鋭い方は、

「それなら冷感湿布ならアイシングになるんじゃないの?」

っと思われるかもしれません。

ただ、結論を言うと「冷感も温感も湿布は同じ」

と言うことになります。

「冷感」は読んで字の如く「冷たく感じる」と書きます。

つまり、冷たく感じているだけで、冷たいわけではない、と言うことになります。

ちなみに冷感湿布と温感湿布は成分自体にも違いはありません。

よく、筋肉の痛みには冷感を、神経の痛みには温感を、と言われることもありますが、

全く科学的な根拠はありません。

あれはあくまでも感じ方の好みです。

またコールドスプレーなどは、皮膚を冷却する効果はあっても、深部である筋肉まで冷やすことはできません。

腰痛の改善には原因へのアプローチが不可欠

湿布は前述の通り、痛み止めです。

痛み止めは、痛みを感じなくさせているだけのこと。

つまり、細胞が「苦しいよぉ〜」っと叫んでいる声を遮断して、聞こえなくさせているだけのことです。

っと言うことは、細胞の叫びは聞こえなくなっても、細胞が苦しんでいることには変わりありません。

人によっては、湿布を貼ることで痛みが緩和され、そのうち症状も治ってくると

『治った』と勘違いすることもあると思いますが、そんなことはありません。

本来、『痛い』と言う状態は正しい状態と言えます。

痛みを感じるのは正常なのです。

そして痛みを感じるのであれば、痛みを消すのではなく、痛みの原因に対してアプローチすることが不可欠です。

湿布に頼るのではなく、正しいケアを心がけましょう。

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